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コラム第８号（2004/8/10UP）
　「企業情報検索　−未上場会社の検索−」

　　　ビジネス情報検索において、企業情報の検索は欠かせません。
　　　たぶんどなたでも何回か検索の経験がおありではないでしょうか。

　　　検索対象の企業が上場会社や大企業の場合、企業概要や財務データ等の情報は比較的簡単かつ確実・豊富に入手可能です。
　　　冊子体の情報なら『会社四季報』や『日経会社情報』、オンラインデータベースの「帝国データバンク」や「東京商工リサーチ」はもちろん、
　　　金融庁のＥＤＩＮＥＴで有価証券報告書を入手することも可能です。
　　　特許調査や文献調査から各社の研究開発動向を調査することもできますが、
　　　特に研究開発型の大企業の場合、多くは自社の技報を発行していますので、まずは各社の技報を入手する方法もあります。
　　　また、上場会社や大企業の場合はインターネットのホームページも充実しています。

　　　さて、企業情報検索でややムズカシイのは、未上場会社や中小企業の検索です。
　　　今回は、この未上場企業の検索についてご案内します。


●冊子体での検索：図書館での閲覧が可能

　　　　まずは、基本として冊子体での未上場会社の情報です。図書館で閲覧する場合は、どの本も「３３５ 企業」の書架にあります。
　　　　　『帝国データバンク会社年鑑』　　　　発行：帝国データバンク　年刊
　　　　　『東商信用録』　　　　　　　　　　　　　　発行：東京商工リサーチ　年刊
　　　　　『会社総監　店頭・未上場会社版』　 発行：日本経済新聞社　年刊
　　　　　『会社四季報　未上場会社版』　　　 発行：東洋経済新報社　年２回刊

　　　　この他、地域の企業情報として『中部年鑑』（発行：中部経済新聞社）や商工会議所の名鑑・名簿などを利用する方法もあります。


●商用データベースでの検索：有料

　　　　冊子体でも未上場会社の基本情報（会社名・所在地・代表者名・売上高・利益など）は入手可能ですが、
　　　　冊子体では、やはり収録数に限界があります。
　　　　冊子体で目的の企業が見つからなかった場合は、多くの企業数をカバーしている商用データベースを使ってみてください。

　　　　商用データベースでは、「帝国データバンク」または「東京商工リサーチ」のファイルに未上場会社のデータが多数収録されています。
　　　　帝国データバンクCOSMOSNET・東京商工リサーチtsr-vanから直接データ入手も可能です（有料・登録制）。
　　　　日経テレコン２１・Ｇ−Ｓｅａｒｃｈなどのシステムの「帝国データバンク」または「東京商工リサーチ」のファイルからのデータ入手もできます（有料・登録制）。

　　　　＜ちょっと便利な使い方＞
　　　　帝国データバンクの企業情報を日経テレコン２１やＧ-Ｓｅａｒｃｈで検索するとき、いきなり日経テレコン２１やＧ-Ｓｅａｒｃｈを検索しないで
　　　　まず先に帝国データバンクの企業コード検索のページを開いてください（検索無料）。ここで一度、目的の企業名を入力して検索します。

　　　　便利その１：この検索でヒットしなかった場合は、帝国データバンクのデータベースには収録されていません。
　　　　　　　　　　　　社外へＧ-Ｓｅａｒｃｈなどでの検索をしに行く場合は、無駄足を踏まずに済みます。

　　　　便利その２：この検索でヒットした場合、企業名と業種・所在地と共に帝国データバンクの企業コード（９桁）が表示されます。
　　　　　　　　　　　　「同じ文字列を持った似たような企業名」のなかから、業種・所在地で目的の企業を特定できますから、この企業コードを控えてください。
　　　　　　　　　　　　同じパソコンでそのまま日経テレコン２１やＧ-Ｓｅａｒｃｈの検索を行う場合は、パソコンのメモ帳やメモパッドにコピーしておくといいと思います。
　　　　　　　　　　　　日経テレコン２１やＧ-Ｓｅａｒｃｈでの帝国データバンクファイルの検索にはこの企業コードを使えば、目的の企業が一発でヒットします。


●冊子体でも商用データベースでも検索できなかった企業

　　　　理由として、新しい企業の場合は冊子体やデータベースへの収録までのタイムラグが考えられます。
　　　　また、なかには「帝国データバンクの企業コード検索でヒットしたのに日経テレコン２１やＧ-Ｓｅａｒｃｈの検索ではヒットしなかった」
　　　　ということもあります。これは、帝国データバンクからのデータを日経テレコン２１やＧ-Ｓｅａｒｃｈへデータ収録する際のタイムラグのほか、
　　　　「帝国データバンクでのデータ収録時点でのデータ不備のモノは日経テレコン２１やＧ-Ｓｅａｒｃｈへ提供しない」というための現象でもあります。

　　　　さて、理由は何であれ一般的な情報源でデータが見つからない。また、なかには自社のホームページも持っていないと思われる企業もあります。
　　　　インターネットで企業名で検索しても、どうもうまくいかない。不要なページばかりがヒットする・・・・（泣）。
　　　　そんなときの、何か情報が欲しい場合のあくまでも「奥の手」です。
　　　　検索エンジンＧｏｏｇｌｅで、その企業の住所を番地・ビル名等まで正確に入力・検索してみてください。少なくとも関係ある情報が拾えるはずです。
　　　　また、現実には「チラシ広告に興味があるが電話番号しか書いてない。いきなり電話する前にどんな企業か知りたい。」ということもあるわけです。
　　　　そんなときには同じく検索エンジンＧｏｏｇｌｅで電話番号をダブルコーテーション “　” で囲んで入力し、「◎日本語のページを検索」を指定して検索します。
　　　　今までの経験上、これで何か情報が拾える確率はかなり高いです。どうしても困ったときなどのために覚えておくと便利かもしれません。

　　　　そしてもうひとつ、ついやってしまいがちなんですが・・・商号ではなく商標で企業情報を検索していませんか？
　　　　例えば、「ユニクロ」は商標です。企業情報検索する場合は商号（会社名）の「株式会社ファーストリテイリング」で検索しないといけません。
　　　　まずは、正確な会社名を確認し直すこともお忘れなく。


●情報は複数入手することをお薦めします

　　　未上場会社の場合、やはり商用データベースで情報入手することが多いと思います。
　　　できれば、商用データベースで情報入手できた場合でも、念のため冊子体の情報も入手するとか、
　　　予算に余裕がおありでしたら、商用データベースも帝国データバンクと東京商工リサーチの両方を入手する、など
　　　情報は複数入手なさることをお薦めします。

　　　これは、「ひとつの情報のみでは情報に不備があってもわからないから」です。
　　　極端なハナシ、帝国データバンクと東京商工リサーチでは売上高が違う！　といことも実はめずらしくないのです。
　　　帝国データバンクも東京商工リサーチも、自社の調査票に基づいてデータ入力しています。
　　　「どうして違うの？」と訊いても「調査票がそうなっている」わけです。

　　　　　留守にしていたあいだに山積みになった郵便物をふるい分けた。
　　　　　ダン＆ブラッドストリート社に頼んでおいたマブハァイ旅行社に関する報告書が、なかから出てきた。
　　　　　残りはぜんぶ脇へ押しやって、わたしは椅子の背にもたれ、２ページの報告書をじっくりと読んだ。
　　　　　Ｄ＆Ｂの情報はもともと各会社側が提供するものなので、会社の幹部が公表したくない事柄は原則的に報告書には含まれない。
　　　　　それでも、わたしの手のなかの二枚の紙片は、マブハァイ旅行社の財政、事業内容、社史に関する基礎知識と、
　　　　　ランドル夫妻の経歴を教えてくれた。
　　　　　
　　　　　　『古狐が死ぬまで』（創元推理文庫）　発行：東京創元社　ジャネット・ドーソン著（押田由起　訳）　から抜粋

　　　ここに出てくるダン＆ブラッドストリート（Ｄ＆Ｂ）は企業情報提供や格付けを行っている米国の会社です。
　　　もちろん、基本的には提供情報は信頼できる可能性のほうが大きいのですが、要は１００％確実ではない、ということです。
　　　ここは皆さんの「自己責任」でデータ確認してみてください。確認のためには、複数の情報入手が基本なのです。



今回はいかがでしたでしょうか。
ビジネス情報に欠かせない企業情報検索。何かひとつでも皆さんのお役にたつことがあったなら幸いです。

　　　　
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